Vol8.「もしもを『遠ざける』という選択肢 ―災害と土地―」
もしもを『遠ざける』という選択肢
素敵な景観や広い土地など、あなたの理想の環境が見つかったとします。しかし、その土地は長く住む上で安全な場所でしょうか。
この夏も含め近年、全国各地で大規模な水害や土砂災害など、痛ましいニュースが数多く報道されています。家が流されたり土砂が流れ込むことで、たくさんの尊い命も奪われました。
そこで今回は「災害に遭遇しないために」という観点でお話をしましょう。
建物の安全性や長く住む上でこだわって欲しいポイントをまとめた前回のコラムもご覧ください。
Vol7.「住宅として適しているのはどっち? ―木造or鉄骨―」
自然災害の恐ろしさを目の当たりにして、改めて土地や家を扱う者(企業)として、どのようにすれば災害に遭わないのか考えを巡らせることが多くなりました。せっかく手に入れたマイホームが被害に遭わないよう、事前に知っておくべき情報をお伝えできればと思います。
その土地は安全ですか? ―ハザードマップ
私たちの住んでいる日本は、国土面積に占める可住地の割合が実は約3割しかありません。残りの7割は、傾斜が急な地形の山地や丘陵地。そのため、海沿いや山間はもちろん平地であっても河川沿いを住居とする地域が多数存在しています。
そこで役に立つのがハザードマップ(被害予想地図)。自然災害による被害を想定し、下記の被害予想範囲を地図で示しています。
・河川の洪水浸水
・土砂災害
・地震災害
奈良県ではほぼありませんが「津波浸水」「火山災害」などの予想範囲も記されています。
ちなみに、避難経路や防災機関などを示したものは「防災マップ」といいます。
多くの自治体で地図の配布やHPで情報を公開していますが、弊社の地元である田原本町HPにも総合防災MAPが掲載されていますので、参考にご覧ください。
【田原本町総合防災マップ/田原本町役場】
http://www.town.tawaramoto.nara.jp/kurashi/bosai/map/4133.html
長く住み続けるためにも、土地購入を検討する際にはハザードマップを確認しておくと安心ですね。
備えるための知識 ―日本の水害
ハザードマップはあれど、災害は予期せぬ被害をもたらすことも多々あります。では、何故災害が発生するのでしょうか。ここでは雨によってもたらされる洪水や土砂災害などの水害についてお話しましょう。
【長雨が続きやすい】日本の四季がもたらす雨
長雨の多い時期といえば、梅雨が一番に思い浮かびますね。日本には春夏秋冬という気候の変化があり、春から夏へと季節が変わる際、南側の暖かい空気が北側の冷たい空気を押し上げようとします。温度の境目で雲が発生して雨を降らせるのですが、同じ力で押し合うことで雲が発生し続け、同じ場所に長く雨を降らせます。ちなみに、夏から秋へと季節が移り変わる際には、梅雨とは逆に北の冷たい空気が南の暖かい空気を押し下げるため、同じように前線が留まって(秋雨前線)多くの雨を降らせます。
【短時間で増水しやすい】傾斜の多い地形がもたらす影響
ハザードマップの説明の際にも触れましたが、山地や丘陵地が多い地形だと、雨が降れば雨が勢いよく川に流れ込んでいきます。森や林などの土も雨を吸収してくれますが、長時間大雨が降れば
どうなるでしょう? 土が受け止めきれなくなった雨も川に勢いよく流れ込み、みるみるうちに水位が上がっていきます。川の流れが強くて堤防が壊れたり、水量が多く堤防を越えてしまった場合、その周辺地域が洪水に見舞われてしまうのです。
ちなみに、土と土砂が猛スピードで一緒に流れ出る「土石流」、地面が山ごと滑り落ちる「地滑り」や「崖崩れ」なども、大雨が原因で発生しやすい災害に挙げられるでしょう。近年は気候の変化の影響か大雨が降る回数も増え、日本のあらゆる地域で水害や土砂災害が多発するようになりました。
安全な住まいを提供するために ―不動産取引における「水害リスク説明」の義務化
災害に巻き込まれるリスクを回避するため、省令の改正が行われたのをご存知でしょうか。契約を結ぶかどうかの判断に影響する重要事項の一つとして、「水害リスク説明」が義務化されました(国土交通省/2020年8月28日より施行)。これは土地(建物)に居住する前に、リスクや避難場所を理解していただくことが目的です。
ただ、契約直前に知ると、場合によっては土地の選定からやり直す必要になることも。そこで、私たちも事前にお伝えするようにしていますが、購入する土地を探す段階でお客様自身にもハザードマップを確認していただくことをおすすめしています。
【まとめ】利便性や景観だけでなく、リスク回避を含めた土地選びを
お客様がこだわって手に入れたマイホームが災害のリスクに晒されてしまう…当然ですが当社はそれを望んでおりません。二人三脚で作り上げるのですから、長く住んでいただくためにもできる限りの情報を提供いたします。その上でお客様自身も検討する条件の一つとして、リスクを遠ざけるという選択肢を持っていただけると幸いです。
地元田原本を知り尽くした、タケソー住空間へご相談ください
今回のコラムでは、災害に焦点を当ててお話しました。ハザードマップの重要性はお伝えできたかと思いますが、奈良・田原本という土地に創業より29年間向き合ってきたタケソー住空間だからこそ、お伝えできる知識や情報もあると思っています。まずは、住まい作りをお手伝いする第一歩としてお気軽にご相談ください。